☆2月のラジオで紹介した本です☆

毎月第3木曜日は、
FMとなみ【76.9㎒】さん
砺波図書館からおススメ本の紹介をしています。
図書館のコーナーは12:20ごろ~(再放送17:30~)です♪
3月のイベント
★3/6(日)図書館友の会主催講演会「学校を取り巻く環境の変化と子供たちの今」
講師:林誠一氏
定員:先着50名
★例年3月・4月に行っていた「雑誌リサイクル」は、
日程をずらして夏ごろに開催する予定です。

今月は大人がドキッとする絵本を2冊紹介しました。

「ぼく」
(谷川俊太郎∥作 合田里美∥絵)

先日テレビで、この絵本ができるまでのドキュメンタリーが放送されていたので、
ご存じの方も多いかもしれません。

この絵本は「ぼく」が周囲に語らなかった声、気持ちを、
わからないながらも、聞こうとし、知ろうとする、
「ぼく」のことを考える絵本です。

編集者の思いから生まれた「自死」をテーマにした絵本で、
そのとても重いテーマへの思いを受け、
谷川俊太郎さんが詩を紡ぎ、合田里美さんが絵を描かれました。

絵本のなかでは男の子がなぜ自死を選んだのか、明らかにされません。
それは、谷川さんが「はっきりとした理由」を
推測されない描き方を求めていたからです。

実際に自死を選んだ人の半数は
理由が分からないとされているそうです。
ただ絵の中から、きっと男の子が感じていた空気が
伝わってくると思います。
もしかしたら、自分も抱えている、言葉にできない思いが
少し見えてくるかもしれません。

この絵本は子どもたちへのメッセージとして絵本の形をとっていますが、
誰もが抱えているであろう心の内を著した絵本として
残っていく絵本になるだろうと思います。


「まっくろ」
(高崎卓馬∥作 黒井健∥絵)

この絵本は、構想から20年かけて出来上がったそうです。
元になっているのは、2002年に放送された
ACジャパン(当時、公共広告機構)のCMで
何十枚もの真っ黒な紙をつなぎ合わせると巨大なクジラが現れ
「子どもから、想像力を奪わないでください」と訴えるものだったそうです。

この絵本の冒頭では、
学校の黒板に「みんなのこころにうかんだことをかいてみましょう」と書かれていて、
低学年の男の子が画用紙を真っ黒に塗っています。
大人から見たら、心の問題を心配されるのですが、
もしかしたら男の子も途中まで自分が何を作っていたのか
分かっていなかったのかもしれず、
だから誰にも何をしているのか言えなかったのかもしれません。

黒井健さんが「まっくろだけどやわらかい」という言葉に合う画材を探し続け、
とてもデリケートな題材を、
最後のクジラの言葉で包み込む素敵な絵本になっています。
子どもが読むと「おお~」と思って終わりそうですが、
大人が読むと心が痛むかもしれません。

絵本はいま子どもたちだけのものではなくなっています。
大人の方もいろんな絵本を手に取ってみてください。