古絵図から見た増山城 その2

② 水源
 山城にとって、水は大切な命の綱である。どんな堅城でも、水を絶たれば籠城戦を戦えず、いずれ陥落する。幸い増山は城域の内外に豊富な湧水や沢水を有し、水源には恵まれている。このことが増山城を山城の代表例とする理由の一つであるが、現在でも確認できる水源が三ヶ所、絵図中に記されている。

●「字又兵衛清水」は、特に水源として描かれていないが、現在、ここの山肌からしみ出た清水を「又兵衛清水」と呼んでおり、位置的にも主郭に当たる「二の丸」の直下にあることから、城中の重要な水源であったと言える。

●「馬洗渕」は、主郭である「二の丸」の東北角にそびえる櫓台の直下にあたる。今でも水がたたえられており、「馬洗池」と呼ばれている。絵図に「渕」と記されているところからみて、江戸時代にはもっと深く水をたたえていたとも考えられる。ここも城中の重要な水源であったろう。

●「神保夫人入水井戸」は、位置からみて、南方の城への水の供給というよりは、側に存在する屋敷などの水源としてほられたものであろう。城中の井戸については、「加能越三州地理志稿」に「毎郭有廃井」とあって、各郭に井戸跡の存在を記すが、今のところ、他には見出せない。 (増山城跡総合調査より)  曲輪の会事務局