☆8月のラジオで紹介した本です☆

『ヒロシマ 消えたかぞく』（指田　和∥著 鈴木　六郎∥写真　ポプラ社）
『「ヒロシマ 消えたかぞく」のあしあと』（指田　和∥著　ポプラ社）

絵本『ヒロシマ 消えたかぞく』の表紙は白黒写真で、
おかっぱ頭の女の子が、猫をおんぶしています。
この女の子は、鈴木公子ちゃん。
広島のはりまや町で床屋さんをしているお父さん、お母さん、
兄、弟、妹の6人家族でした。

お父さんの六郎さんは写真が趣味で、
戦前から戦中にかけて、幸せな家族の笑顔をたくさん撮って
アルバムに整理していました。
女の子のひょうきんな表情、飼い犬をかかえる男の子、
扇風機にじゃれる猫を眺める兄と妹…
あたたかな暮らしが伝わってくる写真ばかりです。

しかし、昭和20年8月6日、広島の上空に原爆が落とされ
「この家族は 原爆で 一家全滅しました」と書かれています。

この絵本は2019年に出版され、その後テレビでも取り上げられました。
著者は児童書の編集者で、絵本作家でもあります。
この絵本を作ることになるまでや、
写真を保管していた、公子ちゃんの従弟にあたるご家族とのやりとり、
絵本に対する反響や感想をまとめた本も
『ヒロシマ 『消えたかぞく』のあしあと」として昨年の夏に出版されました。

8月はテレビでも戦争に関する番組が放送され、
ウクライナでも今も戦争が続いていますが、
多くの命が失われているという現実を、
リアルに受け止めるのはとても難しいことかもしれません。
日本でも戦争があり、多くの命が失われたことを
子どもたちにどうやって伝えていくか…
その一つの方法として、子どもたちが主役の
この絵本が生まれたのだと思います。

8月というこの時期にこそ、読んでいただきたい本です。